こんにちは!
メディアでは北欧・フィンランドの良い面が多く紹介されていますが、実際には暗いニュースも多いのが現実。
日本と同じように少子化が問題になっているフィンランド。
実はフィンランドの出生率はかなりの速度で急激しているんです。
今回は高福祉で子育て支援も充実しているはずのフィンランドの出生率の実態についてご紹介したいと思います。
フィンランドの出生率の推移
まずは出生率の推移を見ていきましょう。
フィンランド統計局の人口動態変化データによると、2020年の出生率は平均1.37人、2019年の出生率は 1.35人でした。

過去10年間で、出生率は大幅に低下しました。
合計特殊出生率は、2010年の1.87人から2019年の1.35人に減少し、これはフィンランドで最も低い出生率でした。

フィンランドって高福祉だから出生率も高いんじゃないの?



そんな声が聞こえてきそうですが、現実は違うようです。
日本とフィンランドの出生率を比べてみましょう


日本は1950年から出生率は急減し、その後増減を繰り返し減少しています。
出生数を見ると、1971年の第二次ベビーブームから綺麗な右肩下がり。



2019年の出生率が1.36ってことは、フィンランドとそんなに変わりませんね。
フィンランドの2019年の出生率が1.35なので、むしろ日本の方が0.01多いのは驚き!
なぜフィンランドの出生率が低下しているのか


フィンランドの出生率の最近の低下は、下記の要因によるものが大きいと言われています。
- 経済的な理由
- 自身の教育と仕事のキャリア
- 男女平等
出生率の低下は3つの要因があげられます
1つ目の要因『経済的な理由』
経済的な理由は、フィンランドでも子供を出産するのに大きな影響を及ぼします。
その背景には、例えば都市への移住があります。
フィンランドでは地方だと仕事が無いということもあり、多くの人が都市へ移住します。
そして都市では住宅が高価なため、例えば大きなアパートを買う余裕がないなどの理由で子供を何人も生むことをあきらめる場合があります。
近年では一人っ子も増えています。
失業率が高いのも原因です。
2020年に10%まで一度高くなった後、2022年1月現在は6.7%まで下がりましたが依然として高いです。


出典:Tilauskeskus
2つ目の要因『自身の教育と仕事のキャリア』
フィンランドでも子供が生まれる前に自身の教育と仕事を軌道に乗せる事が望ましいと考えられているので、必然と子供を産むのが遅くなり、その影響で第2子、第3子となるとますます難しくなったり、全く子供を望まない人も少なくありません。
過去20年で最初の出産年齢が上昇していて、2020年のデータによると平均31.3歳まで上昇しました。
2010年以前の世界金融危機の不況は終わった後もフィンランドの出生率は以前の数字に戻りませんでした。
つまり、子供は依然として労働生活のリスクとして認識されています。
同時に、若者の理想的なライフスタイルも変化しました。
彼らは旅行をしたり、自立した自由な生活を送りたいと思っています。
現在そういった若者のライフスタイルは30歳以上にまで拡大しているとKelaの家族研究者Anneli Miettinenは述べています。
3つ目の要因『男女平等』
近年では望んで子供を産まない選択をする人が増えている。
フィンランドでは個人を重んじる傾向があり、出産するかしないかを選択する事が出来るようになったことで、子供を持つよりも個人としての幸せを追求する人が増えているようです。
共働きが基本のフィンランドで子供を持つ場合、男女平等とはいえ育児はまだ男性よりも女性の方が関わる時間が多い。
仕事の給料だって同じ仕事をしていても男性の方が多く稼ぐと言われている。
このような状況なので、「独身や子供を持たない選択をした方がワークバランスを取りやすい」、「自分1人だけの生活の方が、まだ幸福度が高いのではないか」と考える人が増えるのです。
フィンランドの素晴らしい子育て支援も意味が無い!?


フィンランドには無料で受けられる素晴らしい子育て支援が充実しています。
- 妊娠中から子供の健診までしっかりとサポートしてくれる「ネウボラ」で安心
- 妊娠後期には産後赤ちゃんに必要なアイテムが沢山詰まっている「マタニティパッケージ」がもらえる
- 豊富な手当
- 優れた教育環境
しかし、これほど充実した支援があっても出生率は日本とさほど変わらない。
お金の問題だけではなく他にも出産しない理由があるからです。
フィンランドでは以前にも少子化のために以下の措置が講じられています。
- 1920-1933: 児童税控除->子供の家族の貧困が減少した
- 1953-1973: 育児休暇、デイケアサービス、個別課税->女性の雇用がより一般的になった
- 2010年代: 父親の育児休暇の割り当て->父親の家族休暇が徐々に普及した
2021年にフィンランドでは、新しい少子化対策として父親の育児休暇を母親と同等に取得できる方針を発表し、両親それぞれに約7ヶ月(164日間)の育児休暇期間を与えられる事になりました。
アイノ=カイサ・ペコネン社会問題・保健大臣は、この改革の目的を、ジェンダー平等を推進し、低下している出生率を上げることだとしている。これは「家庭の未来、家庭の幸福への投資」なのだと述べています。



これで出生率が上がってくれるといいんですが。
2020年コロナ禍で出生率UP
フィンランド統計局のデータによると、出生率の9年間の低下は2020年に歯止めがかかりました。2020年の出生率は一人平均1.37人で、2019年の出生率が 1.35人なので0.02増加した事になりますね。
世界的にコロナ禍で出産が増えたと報道されていましたが、フィンランドも例外なく出生率があがりました。
(日本は相変わらず出生率低下しているので例外みたいですが)
コロナで自宅にいる時間が長くなった事で子供を作る機会が増えたためでしょうか。
出生率が上がったのは良い事ですが、逆に離婚率も上がったそうです。



コロナが落ち着いたら元に戻るのかな?
追記:2022年6月現在、コロナ禍で上がった出生率はまた下がり始めました。
理由としては、経済不安が大部分を占めています。
ガソリン代、ローン金利の上昇、仕事に関する不安から子供を設けるか悩んでいる家庭が多いようです。
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【まとめ】フィンランドでも少子化対策が課題
世界的には「人口過多」について話題になっていますが、北欧・フィンランドでは少子化問題が日本と同じようにかなり深刻な状況です。
これだけ充実した子育て支援があってもです。
私自身子供が一人いますが、2人目を考えなかったわけではありません。
しかし、経済的理由や頼れる人がいないフィンランドで学業や仕事を両立して1人以上育てられる自信が無く諦めました。
移民が多いフィンランドでは同じように考える人も多いのではないでしょうか。
理由は色々あると思いますが、今後のフィンランドの少子化対策に期待しましょう。





